ひじりのダラダラ日記

ダラダラした人のダラダラした日常をお送りするブログ

2020年読んで良かった本

久しぶりの投稿
晦日ということで、今年読んでよかった本をいくつか紹介したい

①ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ
著者である遠藤まめた氏から見た、日本や海外のLGBTQ+を取り巻く現状を書き記した一冊。
ページ数も少なく、読みやすいけれどもLGBTQ+の現状について丁寧に書かれているので、LGBTQ+について興味はあるけれども、ハードルが高く手を出しづらいといった人にはぜひオススメしたい一冊である。

ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ

ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ

LGBTとハラスメント
会社などにおいてLGBTQ+の当事者がいないものとして扱われたり、LGBTQ+に対する良い偏見と悪い偏見の両方についてまとめた本である。
いないものとして扱うことや、偏見に対して「悪気はない」で済まされることは多いが、その前にまずはこういった本を読めと言いたくなる。

LGBTとハラスメント (集英社新書)

LGBTとハラスメント (集英社新書)

③わかりやすさの罪
わかりやすさばかり求めて「わかりにくい」物を拒絶する現代社会に疑問を呈した一冊。
実際、「わかりやすい」情報は魅力的で大衆ウケがいいけれども、そよ一方で「わかりやすく」するために正しさが犠牲にされてしまったり、雑にくくられてしまうことも多いと感じている今日この頃。
この本を読んで、日本は「わからない」ことを「わからない」まま処理して受け入れることが必要なのではないかと感じた。

わかりやすさの罪

わかりやすさの罪

④99%のためのフェミニズム宣言
資本主義や新自由主義に迎合したまま、女性の中に存在する肌の色や国籍、セクシュアリティの違いを無視して女性差別「のみ」に反対してしまったフェミニズム運動の失敗を批判した一冊。
フェミニズムの失敗として書かれているものの、実際これはLGBTQ+やBLMなど全てのマイノリティの人権運動について言えることであり、例えばLGBTフレンドリーを掲げている一方で、宮下公園再開発で野宿者排除を行っている渋谷区のようなやり方を許容しているようでは、真の「LGBTフレンドリー」なんてのはあり得ない。
マイノリティ差別をなくすにはマイノリティが強者の仲間に入れることではなく、そもそも強者と弱者を線引きするような差別構造を生み出している資本主義や新自由主義を解体する必要があることがよくわかる一冊。

⑤医療の外れで
現役の看護師である木村映里氏が医療現場でのマイノリティの扱われ方について実体験に基づいて記した一冊。
社会のマイノリティに対する偏見の目が医療の現場でもそのまま反映されてしまっているという印象だった。
差別や偏見については無くさないといけないのだが、このような命に直接関わる場所で、偏見を垂れ流されると当事者の命にも関わってきてしまう。この本では実際に病院嫌いになってしまった当事者についても書かれている。
一方で、医療現場のひっ迫した状況についても触れられており、著者である木村氏が板挟みになっていることが痛いほど伝わってくる一冊である。
ただ、一つ気になったのはマイノリティの中で外国人の存在が書かれていない点だ。
著者が当事者と接したことがないから書いていないだけだと思いつつも、著書の中に「「差別ではなく区別」というのは差別を正当化するために使われる言葉」と書かれているところがあり、その中に具体例もいくつかあるのだが、具体例にも外国人が入っていなかったのは少し気になった。

レイシズムとは何か
差別はなぜ起きるのか、そしてなぜ日本には差別が蔓延しているのに、「日本には差別がない」と思い込む人が一定数いるのかをまとめた一冊。
明らかな差別的発言に対しても報道では「賛否両論」や「批判殺到」などと差別だとハッキリ批判できず、また差別発言自体が意見の一つとしてまとめられてしまうくらい、現在日本は反差別のブレーキが弱い。
この本はそんなブレーキの弱さについてもしっかりと指摘している。

レイシズムとは何か (ちくま新書)

レイシズムとは何か (ちくま新書)